Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
日本のGDP─1~3月減少は一時的とはいえ基調も鈍い
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年5月17日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
昨日(5/16日)公表された24年1~3月の実質GDPは前期比-0.5%・年率-2.0%と2期振りのマイナス(表1)。物価動向を含む名目GDPは前期比+0.1%・年率+0.4%と辛うじて2期連続でプラスを維持した(表2)。


前年比でみると、名目GDPは+3.4%とはっきりとしたプラスを維持しているが、実質は-0.2%と小幅ながら12期振りのマイナスに転じた。
1~3月の実質GDPの減少は、一部自動車メーカーが品質不正問題から生産を一時的に大きく減少させた影響が、個人消費、設備投資、輸出などを下押ししたことが主な背景と考えられる。その意味では、一時的な供給要因に基づく弱さであり、4~6月には実質でもプラス成長に転じるとの見方が多い。
とはいえ、実質の国内需要(内需)が個人消費中心に4期連続マイナスとなっており、物価上昇が景気の回復力を鈍らせている姿も浮かび上がる。
今後は、物価上昇ペースが幾分緩和し賃上げ率も高まるため基本的には物価高による景気の押下げ効果は和らいでいくとみられるが、最近の円安傾向が持続すれば再び輸入物価が上昇し内需回復を鈍らせる可能性にも注意が必要だ。
企業経営としては、景気全体では鈍いながらも何とか回復傾向を辿ることを前提にしつつ、コスト高、人手不足等に対応できるよう、適切な価格転嫁や生産性向上に努めることが大事だ。
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