Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
景気回復が続き、採用をさらに積極化──日銀12月短観
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年12月13日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
本日(12/13日)、日銀短観12月調査が公表された。全般に企業景気の良好さを示す結果。
業況判断(表1)をみると、全規模・全産業では+15と2期連続で小幅改善し、2000年以降のピーク(+17<18年3月>)に近づく水準。

業種別には、製造業が小幅改善、非製造業が高水準横ばい。企業規模別には、大企業が横ばい、中小企業は小幅改善。夏場以降の円安修正により、コスト上昇が多少鈍化したことが影響した可能性がある。
24年度の事業計画は、高水準の収益のもとで設備投資がソフトウエア中心に高い伸びとなるなど、企業は積極姿勢を維持。
全規模・全産業ベースでみると(表2)、売上・収益については、4年連続の増収の一方、経常利益は4年振りの減益ながら、小幅かつ2回連続で上振れ。ソフトウエア・研究開発を含む設備投資は、23年度に続き24年度も1割程度の増加計画を維持。

この間、中小企業で人手不足感がさらに強まり、全規模・全産業では「不足」超幅が▲36と2000年以降のピーク水準が続く。そうしたもとで、25年度の新卒計画は中小企業中心に大幅増(表3)。中小企業では24年度の採用が1年前の計画に比べ大幅に下振れており、その分さらに採用を増やさざるを得ないと意識している模様だ。

12月短観の調査結果は、前向きな企業行動と同時に、人材確保の難しさを改めて示すものでもある。人材確保の観点からは更なる賃上げは不可避とは言え、生産性向上に向けて、業務プロセス見直しや省人化投資などに加え、育成をはじめとした人材戦略(人的資本経営)もより意識する必要がある。
今回の短観の結果は概ね良好とは言え、米トランプ政権の政策や中国の経済情勢、内外の金融政策など、先行き不透明な要因が少なくないだけに、企業経営としては各方面への目配りも必要だ。
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