Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
来年のビジネス環境はどうなるか
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年12月26日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
今年も残り数日。企業経営を取り巻く環境は、プラス材料とマイナス材料がともに目立つ1年であった。インバウンドがコロナ禍前のピークを超え、企業全体としては投資や賃上げを積極化する中で、日経平均株価はバブル期の既往高値を更新。一方で、物価高が続き人手不足はさらに深刻化、中国経済減速の影響も長引いた。
経済全体では何とかプラス効果が勝ったが、値上げや人材確保、DX対応の成否などによって企業の明暗もはっきりする方向となった。また、日米を含め多くの主要国の国政選挙で選挙前の与党が敗退、ポピュリズム的な動きの拡がりもあって不確実性が高まった年でもあった。
さて、来年のビジネス環境はどうなるだろうか。マクロ環境のメインシナリオは、世界経済が冴えないながらも底堅さを維持する中で、日本および千葉県の経済は緩やかな回復傾向を維持するというものだ。インバウンドや設備投資が引き続き増加するほか、一段の円安が回避されれば輸入インフレがペースダウンし賃上げと相俟って消費は底堅さを増すと期待される。
同時に、企業経営を取り巻く環境には不確実性が漂う。海外面では、良好な米国と鈍い中国・欧州などバラツキが大きい「K字型」の経済成長が続きそうなことに加え、先の読めないトランプ大統領をはじめ政治情勢からも目が離せない。
国内面でも、人手不足、円安定着、物価・賃金・金利の緩やかながらも持続的な上昇など、長年経験しなかった変化に如何に対応していくかが求められる。特に人手不足に関しては、働き手が減少するもとで、生産性を向上させ、有効な商品・価格戦略を構築することが鍵となる。発展が著しい生成AIの実務への活用も大事なポイントだ。
この間、千葉県では、8月に岸田前総理が国家プロジェクトと明言した成田空港機能強化のほか、物流施設や研究所を中心とした高水準の企業立地、工業地を中心とした持続的な地価上昇など、独自のプラス材料も少なくない。
千葉県の企業としては、本稿で指摘したマクロ的な諸課題を念頭に置くと同時に、県独自のプラス材料も活かしながら、様々なリスクに注意を払いつつ、更なる発展に向けた工夫を施していくことが必要だ。環境変化が大きいからこそ、企業理念という軸を大事にしたい。
最後に宣伝です。新年1月1日15時より、千葉テレビで正月特番「夢を育むちばの暮らし~わが街の未来予想図~」が放映されます。我孫子市と香取市の魅力、千葉で芽吹く前向きの動きなどを伝えることがテーマで、私もコメンテーターとして登場します。お時間ありましたら、是非ご覧ください。良いお年をお迎えください。
●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。