Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
IMF世界経済見通し─「まちまち、かつ不確実」
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年1月21日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
先週末、IMF(国際通貨基金)の世界経済見通しが公表された。副題は“Global Growth: Divergent and Uncertain”(世界成長:まちまち、かつ不確実)。
世界経済全体としてはインフレ鈍化に伴い安定しつつある。ただし、米国が強い一方、欧州や中国が鈍いなどバラツキが目立つことに加え、米国をはじめとする新政権の政策運営は先行きの見通しが難しく、不安定要素となり得ると指摘。
世界経済の成長見通しをみると(表1)、23年+3.3%、24年+3.2%のあと、25年、26年は+3.3%と予想。長期平均である3%台半ばよりはやや低めながら、安定した成長見通しだ。25年は昨年10月見通し対比で+0.1%の上方修正。最近の傾向ではあるが、ユーロ圏が下振れの一方、米国が上振れ世界経済を下支えする姿。

消費者物価上昇率の見通しは(表2)、23年+6.7%のあと、24年+5.7%、25年+4.2%、26年+3.5%と緩やかに鈍化。10月対比では25年、26年とも新興国中心に▲0.1%の下振れ。

ダボス会議にあわせて行われた大手会計会社PwCによる世界主要企業の経営者アンケートでは、58%が「今年の世界経済は改善する」と回答し、23年の18%、24年の38%に比べ大きく増加。
メインシナリオとして今年の世界景気はまずまずとみて良さそうだが、米国を中心に新政権の政策運営には注意が必要だ。本日深夜の米トランプ大統領の就任後、今のところ諸外国への一律関税に関する明確な発言はない。しかし、気候変動に関するパリ協定からの離脱など幾つかの大きな方針転換を打ち出し、メキシコ・カナダへの関税の早期実施にも言及。今後も米国第一主義に基づき世界経済にマイナスの政策を打ち出す可能性が十分にある。
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