Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
BCP策定に向けた早期検討と実効性向上を
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年9月28日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
8月中旬の令和8年千葉豪雨に続いて先週は台風25号に遭遇し、千葉県では交通網の寸断を含め多くの被害が発生した。被災された方々に心よりお見舞い申し上げたい。
記録的な大雨となる中で、県民生活に加え、事業所の休業や物流の停滞など企業活動にも幅広い影響が及んだ。災害時に重要業務を継続し早期に復旧するには、BCP(事業継続計画)が重要な備えの一つとなる。
帝国データバンクによると、BCPを策定する意向がある(「策定済」+「現在、策定中」+「策定を検討」)県内企業の割合は51%と約半数に上る(下表)。しかし、規模別にみると、中小企業(49%)は大企業(68%)と比べて策定意向のある企業の割合が低く、特に策定済みとする割合は17%と大企業41%の半分以下にとどまる。

その背景には、BCPの策定を担う人材やノウハウの不足がある。千葉県では、中小企業のBCP策定支援事業として、相談対応や専門家派遣などを行っている。自社だけでの策定が難しい企業は、こうした公的支援を活用し備えを進めたい。また、国では、BCPよりも取り組みやすい「事業継続力強化計画」の認定制度を設けている。これは、事前の防災対策に内容が絞られ、指定の書式も用意されているためハードルが低い。認定企業は税制や金融、補助金などの支援を受けられる。ここから手をつけるのも一案だ。
また、災害の激甚性が高まるなか、BCPは実効性を高めることが求められる。JX通信社の全国調査では、BCP業務に携わる企業担当者の88%が「自社の意思決定基準」を定めておくことが重要だと回答しつつも、実際に「出社・帰宅を判断する基準」を設けている企業は41%にとどまる。災害時には迅速な判断が求められるため、「誰が事業停止を決めるのか」、「どの段階で従業員を帰宅させるのか」といった具体的な基準や役割を平時から共有しておくことが望ましい。
他社の取り組みも参考になる。千葉県のBCP策定支援事業を利用した企業などは、重要業務の対応フローの整備や定期的な訓練、初動対応の具体化など、業種やリスクに応じた対策を進めている。
今回の災害を、自社の備えを見直す機会としたい。BCP未策定の企業は、重要業務と想定リスクを洗い出し、公的支援も活用しながら策定を進める。策定済みの企業は、訓練や災害対応を通じて計画を検証し、より実効性の高いものへと磨き上げる。平時からの取り組みが、企業の事業継続力を高め、地域の経済活動を守ることにもつながる。
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