Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
IMFの10月世界経済見通し─強靭性が試される
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年10月16日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
10月13日、IMF(国際通貨基金)の世界経済見通しが公表された。副題は「試される強靭性、迫られる決断」(Resilience under Strain, Urgent Choices)。中東情勢の緊迫継続にも拘わらず世界経済は持ち堪えているが、適切な政策運営などが急務であるとのメッセージだ。
経済見通しは7月から殆ど変化なし。イラン紛争を受けて4月にやや下振れた後、4月想定より中東情勢の緊迫化が長引いているにも拘わらず大きな変化はなく、世界経済は強靭と評価。
世界の経済成長は、25年の3.5%から26年には3.1%と減速するが底堅さを維持し、27年はエネルギー市場が徐々に正常化することに伴い3.4%と再び伸びを高める見通し(表1)。こうした経済の強靭性には、①エネルギー調達の多様化、②世界的なAI関連投資ブーム、③財政支出の拡大などが寄与。

地域別には、AIブームの恩恵が大きい先進国でやや上振れる一方、新興・途上国では中東地域を中心に下振れている。
インフレ率については、エネルギー価格の高止まりなどを反映し、年初の見通しに比べてかなり上振れた状態が続く見通し(表2)。

リスクは下方に注意が必要と指摘。インフレ率が高まり官民の債務も膨らむ中での国債利回り上昇、AIブームの不確実性、エネルギー高・AIブームの影響の及び方の違いに伴う国ごとのバラツキ拡大などをリスク要因として指摘。こうした点を踏まえ、財政の健全性確保、インフレ抑制のための適切な金融政策、AIも活用した生産性・供給力の強化といった面での各国の取り組みとともに、エネルギー安全保障やサプライチェーン、AIの安全性管理などに関する国際協調も重要であると唱える。これらは世界経済の強靭性を維持するうえで急務と主張する。
今回のIMF見通しは日本経済にとって、世界経済の強靭性がプラスに働くとともに、下方リスクを意識しつつ適切な政策運営が必要であることも示唆するものだ。
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