Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
防災に強い地域の確立を
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年10月21日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
千葉県は8~9月、令和8年千葉豪雨、台風25号に遭遇し大きな被害が発生した。強風被害が中心であった19年の台風・大雨と比べると、住宅の損壊やライフライン被害の件数は下回る一方、住宅の浸水が極めて多かった(下表)。千葉市を中心とした都市型の内水氾濫(下水道や排水路が処理し切れず浸水する現象)をはじめ大規模な水害が今回の特徴であったと言えよう。

具体的には住宅などの浸水に加え、車両の浸水被害に関し8月の豪雨で2万台近くの車両保険の申請があった(損保協会公表)。保険でカバーされない車両を含めると3万台を超えたとも伝えられ、千葉県の年間新車販売(20万台程度)の15%超の規模だ。このほか9月の台風では印旛沼の決壊や土砂崩れによる内房線の長期運休という甚大さを印象づける災害も発生。道路の通行止めについても、台風直後の9月22日に133区間、10月20日でも46区間が不通となっている。
経済的には、保険も利用した車の買替えや住宅の修繕、交通インフラの復旧という形での需要増も見込まれるが、当面は住民生活や企業活動への支障となることは避けられない。
また、全国で繰り返し報道されたこともあって、従来は災害が生じにくいとされていた千葉県が、近年は災害を受けやすい県になったというイメージダウンに繋がるリスクも否定できない。台風上陸が従来に比べ東・北日本に移動しているという研究結果もあり(神戸大学・塚原教授<2021>)、大雨や台風が繰り返されることを前提に備えていく必要がある。
企業としては、実効性のあるBCP策定が重要だ。19年時点では千葉県企業のBCP策定割合(検討を含む)は42%と全国34位にとどまったが、19年の災害を機に取組みが進み26年には51%と全国21位まで高まっている。ただし、増加する災害に備えるためには中小企業を中心にBCP策定がさらに広がることが求められる。
県や市町村には、防災に強い地域にするための一段の取組みが求められる。県民世論調査によると、「災害から県民を守る」が県政への要望項目の1位(25年度調査)。防災に強い地域であるとのイメージが人や企業を惹きつけるうえでも大事な要素となってくる。
千葉県では近年、災害に強い「防災県」作りを推進している。今後は、内水氾濫を含む今回の経験も活かしつつ、オール千葉で防災に強い地域・千葉県を確立していくことが大事である。
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