Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

コロナ禍で拡がるキャッシュレス決済

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年3月2日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(日銀が事務局、21年1月公表)によると、20年(8~9月調査)にかけてキャッシュレス決済がかなり拡がったようだ。クレジットカードや電子マネーといったキャッシュレスを主な決済手段とする比率は、2人以上世帯において、少額決済(1千円以下)で43.7%、高額決済(1~5万円)では71.5%を占めるようになっている(表1)。単身世帯では、それぞれ79.8%、89.9%とさらに高い(表2)。


 主な背景は、国が19年10月~20年6月に実施したキャッシュレス・消費者還元事業が契機になったことに加え、コロナ禍で現金に触れたくないという考えが拡がったこととみられる。


 千葉県の動きは、千葉経済センターの「千葉県におけるキャッシュレス決済の動向」が参考になる(総研が受託し20年9月にアンケート調査、12月公表)。利用者の回答をみると、以下の特徴がある。


 ①「キャッシュレスの使用頻度」は、週2~3回以上が69.6%。月2~3回の21.8%と合わせると、9割程度とかなり高い。


 ②「キャッシュレス決済を増やした・使い始めた」とする回答は、国の還元事業で45.9%、コロナ禍で30.4%と相応に多い。


 ③「キャッシュレスを今後もっと使いたい」との回答は、55.8%と半数超。


 ④「キャッシュレス対応の有無で店を選ぶことがあるか」については、年齢や居住地域に依らず半数程度が「ある」と回答。


 ⑤「使いたいけど対応する店が少ない」との回答が、銚子・九十九里・南房総地域で2割程度と高く(それ以外では1割前後)、店側が対応し切れていない姿も。


 これら両調査から見てとれる通り、コロナ禍もあって、キャッシュレスは着実に拡がっており、今後もその動きは続きそうだ。企業としては、こうした調査結果も活用しながら、顧客の利便性向上に努めていく必要があろう。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。