Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

V-RESASでコロナ禍の地域経済動向を把握

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年10月7日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 コロナ禍で刻々と変化する経済動向を把握する観点から、高頻度データに対する関心が高まっている。政府が本年6月30日に提供開始した V-RESASもその一つで、地方創生支援の観点から2015年に始めた「地域経済分析システム(RESAS)」を発展させたものである(Vは”Vital signs”を指す)。千葉県を例に、利用可能なデータを2種類示してみよう。


 ①スマホの位置情報をもとにヒトの動きを週次で集計。県全体のほか千葉駅をはじめ13主要駅近辺のヒトの動きについて、居住地ごと(地元、県内、県外)、時間帯ごと(全時間のほか7時間帯)に利用可能。


 ②ネットの特定サイトにおける飲食店の閲覧数を週次で集計。県全体のほか千葉市をはじめ20地域の閲覧数について、ジャンルごと(全体のほか9ジャンル)に利用可能。


 具体的にみると、千葉県のヒトの動きは、9月第3週までのところ、地元居住者が前年比増加を続け、地元以外の県内居住者も前年近くまで回復する一方、県外居住者の動きはなお鈍い(図表1)。飲食店の閲覧数を地域別にみると、いずれの地域も概ね5月第1週をボトムに9月第1~3週の時点では持ち直しているが、地域間でかなりの差がある(図表2)。


 このほか、POSデータに基づく品目ごとの商品売上高(週次)、予約状況に基づく地域・分類ごとの宿泊者数(月次)なども利用可能。


 有用性の高さは利用者ニーズの内容によるが、地方自治体やシンクタンクだけでなく、地域に根付く企業の皆さんにも役立つかもしれない。シンクタンクにとっては、地域経済のイメージを早期に把握可能となる一方、①データのダウンロードができずサイト上での可視的な利用にとどまる、②サイト上で都道府県・地域間の比較が難しい、③週次データでも3週間程度の遅れがあってVital signsとまでは言いにくい、などの課題も存在。


 皆さんも、まずはサイト(https://v-resas.go.jp/)を体験し、役立ちそうであれば、改善点を担当部署(j.resas.j9j@cas.go.jp)に要望してみてはどうか

(出所)図表1、2ともにV-RESASのデータをもとに㈱ちばぎん総合研究所が作成

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