Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

コロナ禍で千葉県への関心は高まるか

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年10月21日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 新型コロナ感染症の拡大により、地方分散が改めて議論されている。私自身は、経済発展の観点からは都市・産業集積が進むという方向性が抜本的に変わることはなく、首都圏への人口流入はある程度維持されるが、デジタル化を活用した「適度な分散」による「東京都」一極集中の是正が望ましいとの立場だ。


 その意味で、首都圏に位置し高度な都市機能を備えながら、豊富なスペースを有し「東京都」一極集中の緩和にも貢献できる千葉県の役割は、益々重要になっていくと考えている。


 この点、コロナ禍が半年以上続く中で、このところ千葉県への関心が高まる兆候とも感じられる変化が幾つか見られている


 第一に人口移動。総務省の月次統計によると、7~8月には、他地域から東京都への人口移動がマイナス(転出超)に転じた一方、千葉県への転入超は続き、かつ昨年のペースを上回っている(図表1)。


 第二に住宅。民間不動産業者の調査によれば、首都圏の中では、千葉県の住宅物件に対する閲覧や問い合わせが目立つようになっている(図表2)。


 第三にオフィス。民間調査によると、東京・横浜では、空室率が年央頃からはっきりと上昇に転じている。一方、ヒアリングベースではあるが、千葉では、そうした動きは出ておらず、サテライト・オフィスに関する問い合わせも散見される模様。


 第四に地価。国土交通省の四半期統計によれば、第2四半期には、東京都や神奈川県において幾つかの商業地で地価が下落に転じた一方、千葉県では調査対象の5地点全てにおいて横ばいとなった。


 いずれの動きも一時的な現象かもしれず、今後の動向は注視が必要だ。千葉県関係者としては、そうした動きが定着していくよう、改めて千葉県の魅力を発信するとともに、中長期的には、一層のインフラ整備や魅力ある街づくりに努めていく必要がある。


 

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