Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

12月日銀短観はまずまずの結果

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年12月14日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 本日(12/14日)、日銀短観12月調査が公表された。ポイントは以下のとおり。


 企業マインドをみると(図表1)、全規模・全産業の業況判断DIは、6月の-31をボトムに、9月に-28と小幅改善したあと、12月は-15と2期連続の改善。前回より改善幅を拡大し、市場予想を上回った。業種別には、世界的なモノ需要の回復を反映して、自動車中心に製造業の改善が目立っており、この傾向は当面期待できそうだ。


 ただし、中小企業中心に未だかなりの「悪い」超。また、非製造業では、大企業を含め先行きの業況見通しが再び悪化しており、感染再拡大の影響を懸念する様子も窺われる。


 20年度の事業計画は(図表2)、非製造業中心に売上・収益の下振れ傾向が続いており、企業の先行きに対する不透明感が見てとれる。そのもとで、設備投資も下振れ。ただし、投資計画は、金融面の下支えやIT投資の積極化から前年度比-3.0%と小幅減にとどまり、リーマン後の-15.6%(09年度<12月調査>)と比べ底堅い。


 今回おやっと思ったのが、雇用人員判断(図表3)。中小企業中心に「不足」超幅がはっきり拡大した。企業業績は厳しいが、多少なりとも経済活動が戻ると人手不足を感じるという、労働市場の構造的な課題を反映したものかも知れない。逆に言えば、長い目でみた企業の根強い採用意欲を示唆しているとも考えられる。


 以上のように12月短観は、全体として、景気の回復傾向や投資・雇用の底堅さが崩れていないことを示唆する結果となった。ただし、弱めの材料も入り混じっているだけに、当面は、感染再拡大の影響を注視していく必要がある。

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