Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

来年のビジネス環境はどうなるか

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年12月24日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 今年も残り一週間。新型コロナウイルス感染症により、企業経営にとって思いもよらぬ厳しい年となった。個人にとっても、感染に対する警戒などから日々緊張感を強いられる年であった。


 さて、来年のビジネス環境はどうなるだろうか。日本そして千葉の景気は、本年央以降、緩やかに回復してきた。しかし、コロナの感染再拡大によって、対面サービス関連を中心に足踏みとなっており、当面はそうした状態が続きそうだ。


 その後は、引き続きコロナの感染状況に左右される面が大きいとみられるが、景気展開や経営戦略を考える上で、3つの点を指摘しておきたい。


 第一に、経済活動と感染状況が相互に影響し合いながら、景気は振れを伴いつつ緩やかに回復していく蓋然性が高いこと。個々人や関係者の工夫によって、春頃に比べれば、経済活動と感染防止が何とか両立できるようになりつつある。ワクチンの実用化・普及も視界に入り始めている。景気は、基本的に下方リスクに注意が必要だが、予想外に堅調となる可能性も頭の片隅に置いておきたい。


 第二に、業種や企業によって、ビジネス環境のバラツキが大きいこと。インバウンドの持ち直しは暫く鈍そうだ。国際航空運送協会によれば、航空需要が2019年の水準に戻るのは2024年との見通し。一方、世界的にモノの動きの回復は明確で、製造業には期待を持てそう。デジタル関連やグリーン関連は、コロナ前以上の需要拡大が予想される。


 第三に、企業としては、資金繰りの万全やコストカットなど短期の守りと、環境変化を睨んだ中長期の成長戦略の双方を意識する必要があること。普段なかなか取り組めなかった企業改革に着手する良い機会でもある。もちろん、それらのバランスは、直面するビジネス環境で異なってくるが。


 千葉としては、コロナを契機とした環境変化のポジティブな面を捉えて、一層の発展に繋げていきたいところだ。インバウンド関連は暫く厳しいが、長期的な成長の方向性に変化はなく、当面はマイクロツーリズムなどで支えていく必要がある。


 いずれにせよ、来年は、オリ・パラ開催も含め、人類の英知でコロナに打ち克った歴史的な年となることを強く願いたい


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