Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

景気は春以降緩やかに改善─日銀展望レポ-ト

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年1月21日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀は、四半期毎に経済・物価見通しを示す展望レポ-トを公表した(1月21日、計数は下表)。前回10月から大きな変化はない。

 ① 成長率見通しは、20年度が-5.6%と前回(-5.5%)からほぼ不変当面は緊急事態宣言の影響から弱いが、10~12月が想定比強かったことでほぼ相殺された模様。

 ② 春以降は、感染が収束の方向に向かうことを前提に、緩やかに改善。12月に打ち出された政府の経済対策の効果などから、21年度+3.9%、22年度+1.8%とともに前回(+3.6%、+1.6%)に比べ小幅上振れ


 ③ 消費者物価は、足もと原油価格下落等から小幅マイナスとなっているが、先行きは、その影響が薄れることなどに伴い、緩やかな上昇に転じていくとの見通しを維持。前回対比でも、ほぼ不変。


 リスクとしては、これまで同様、感染症の影響、企業や家計の成長期待、金融システムの安定性などに関する不確実性を挙げている。感染症については、「ワクチンの普及によって、想定以上に早期に収束する可能性はあるが、その普及のペ-スや効果には不確実性がある」と指摘。初めてワクチン効果に言及しつつも、基本的には、これまで同様、経済への影響が長引く下振れリスクに重点を置いている。


 金融政策は、これまでの大規模な緩和策を維持。日銀は現在、「より効果的で持続的な金融緩和を実施するための点検」作業を行っており、3月の金融政策決定会合で点検結果を決定・公表する予定。2%の物価安定目標や、マイナス金利を含めた長短金利コントロ-ルなど、基本的な枠組みは変えないとしており、技術的な修正にとどまりそうだ。どのような点検結果になるにせよ、超低金利と大規模な資産買入は暫く継続し、金融面から企業や家計の経済活動を支えるという大枠に変化はないとみている。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。