Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

底堅い千葉県の地価──持続的な上昇に繋がるか

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年4月20日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 3月に公表された「公示地価」(21年1月1日時点、表1)は、全用途でみて全国が6年振り、東京圏では8年振りの下落。新型コロナが、オフィスや飲食店の需要減などを通じて、商業地中心とした地価の押し下げに作用した形だ。


 こうした中で千葉県の地価は、全用途で8年連続の上昇を続け、1都3県で唯一の上昇


 工業地では、物流施設向けの需要増から、前年比+2.9%と前年並みの高い上昇率。外環道の整備が進んだ松戸市や市川市、全線開通が期待される北千葉道路沿線の白井市などで上昇が目立つ。住宅地や商業地では、鈍化させつつも上昇を維持。コロナ禍を機に都心から離れた地域での住宅需要の高まりや、東京に比べたオフィス需要の底堅さなどが背景。アクアライン結節部の君津市や木更津市などで上昇が目立つ。


 千葉県の地価の底堅さは、四半期毎の主要地点の調査「地価LOOKレポート」でも確認できる(表2)。全国でも東京圏でも、昨年4~6月以降は下落地点が増えていたが、千葉県(千葉、海浜幕張、新浦安、船橋、柏の葉の5か所)では横這いを継続。


 こうした中、全国や東京圏では、昨年10~12月に微妙な変化がみられた。多くの地点で下落が継続する一方、上昇を示す地点も増加。東京圏では、東京都の商業地で下落地点が増加する一方、神奈川県で住宅地・商業地の多くの地点が上昇に転じた。また、大阪圏では、大阪府で全ての商業地が下落を続ける一方、お隣の兵庫県で住宅地中心に多くの地点で増加に転じた。


 経済活動が落ち着きを取り戻しつつある中で、都心のオフィス需要減と郊外の住宅需要増といった、コロナ後も見据えた構造的な土地需要の変化の兆しかも知れない。千葉としては、そうした機会を捉えた各方面の取り組みによって、持続的な土地需要に繋げていくことが重要だ

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