Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

自治体行政のデジタル化

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年5月10日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 当社と千葉銀行は、ゴールデンウィーク前の4月23日、「自治体行政デジタル化セミナー」を初めて開催。国は、コロナ禍の経験も踏まえ、行政全体のデジタル化を急ピッチで進める方針にある。本セミナーは、県内で先進的にデジタル化を進めてきた自治体の取り組み事例を紹介し、課題を共有することなどによって、デジタル化に取り組もうとする自治体へのヒントを提供することを目的としたものだ。


 今回のセミナーは、対面(千葉銀行本店)とウェブのハイブリッドで行ったが、参加者は合計で120名を超えた。ウェブ参加が9割を占め、県内だけでなく北海道から九州に至るまで、幅広い地域の自治体から参加いただいた自治体デジタル化に対する関心の高さと、ICTが可能とする交流の拡がりを改めて認識させられた


 セミナーは、第1部の3自治体による基調講演と第2部のパネルディスカッションで構成され、私は第2部のモデレーターとして参加。


 第1部では、まず船橋市から、国のDX戦略や自治体の取り組みの方向性について、包括的かつ分かりやすいお話があった。市川市は、LINEを活用した手続き案内や情報配信などのほか、ワンストップサービス実現に向けた取り組みについて紹介。習志野市からは、「ちょこっとからはじめるICT」と題し、キャッシュレス化や公印の押印見直しなどについて紹介があった。


 第2部では、昨年末に国が策定した「自治体DX推進計画」の6つの重点取組事項(下表)に対する考え方を中心としつつ、税や公金収納のキャッシュレス化、ICT人材の育成、他の自治体に対するアドバイスなどを含め、意見交換。


 セミナーを通じて多くの示唆に富む意見が聞かれた。特に印象に残ったのは、①デジタル化は「目的」ではなく住民サービス向上や業務効率化の「手段」、②兎に角やってみる(デジタルファースト)という姿勢が重要、③職員のITリテラシーを高めるような取組みが必要、などで、企業のデジタル化にも当てはまる考え方だ。今のところ詳細が不明な国の推進計画の関連では、④システムの標準化・共通化の対象17業務に関し、既存システムとの関係などについてITベンダーと議論しておくことが有用、との指摘も重要と感じた。


 セミナーの内容は多岐に亘るため、詳細についてご関心のある方は、当社マネジメントスクエア(7月号掲載予定)や千葉銀行公式チャンネルYouTube(リンク先:自治体行政デジタル化セミナー2021 ~デジタル化を円滑に推進するためのポイント~ – YouTube)をご覧いただきたい。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。