Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

飲食店営業の制限緩和と第三者認証制度

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年6月23日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 6月20日をもって、沖縄県を除く9都道府県の緊急事態宣言が解除された。うち7都道府県については、7月11日までのまん延防止等重点措置を適用。千葉県では、対象地域は一部変更されたが、引き続き重点措置が適用されている。


 今回大きく変わったのが、飲食店を対象とした取組み国は、重点措置区域において、「一定の要件」を満たした店舗に対し19時までの酒類提供を認めることとし、感染状況に応じて知事の判断で制限を強化できるなどの方針を定めた(下表)。


 千葉県では、19時までの酒類提供を可能としつつも、1グループ2人まで、利用時間は90分以内などの制限を加えている。酒類を提供する飲食店に対し、チェックリスト(県HPへリンク)による感染防止の徹底と記録の保存も求めている。まだまだ厳しい制限であるが、酒類提供によりある程度の売上回復が期待される飲食店は相応にあるとみられ、半歩前進と一応前向きに評価したい。


 国は「一定の要件」について、①アクリル板等の設置、②手指消毒の徹底、③マスク着用の推奨、④換気の徹底、⑤1グループ原則4人以内と定めた。ただ、同時に都道府県に「第三者認証制度」の導入を求め、将来は制度に紐づけた取り扱いを想定している。


 飲食店の感染防止対策を評価する「第三者認証制度」は、山梨県が先行開始した「やまなしグリーン・ゾーン認証」が有名で、「やまなしモデル」とも呼ばれる。千葉県では、熊谷知事が就任直後に制度の導入方針を示し、「一律的な時短要請を緩和するなどの、対策をとるインセンティブを持たせることも検討していきたい」旨を表明。6月17日に提出した補正予算案では、千葉市でのモデル事業をベースに全県での認証制度実施のための詳細を決定していく方針を示すとともに、関連事業費(36億3千万円)を計上した。


 今後ワクチン接種の浸透に伴い感染は収束に向かうと期待されるが、暫くは、安全・安心を求める消費者心理が大きく変わることはなく、感染防止対策の必要性も継続しそうだ。国や自治体では、これまでは事業者を一律に制限する傾向が強かったが、今後は事業者の取組みに応じて酒類提供可否や営業時間設定を要請し、補助金額を定めるといった、メリハリある対応を期待

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