Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

動き始めた消費活動

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年10月20日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 9月末で緊急事態宣言が解除され、人々の消費活動も動き始めたようだ。


 グーグルの小売・娯楽施設(含む飲食店)における移動データをみると、コロナ感染の落ち着きからか、解除前の9月半ば頃から増加傾向にある(図表1)。千葉県は連休要因による振れを伴いつつ緩やかな増加傾向にあり、東京都では水準は低いが比較的早いペースで回復。


 その他の情報も踏まえると、百貨店など小売でも持ち直してはいるが、酒類提供が再開された飲食店の回復が目立つようだ。予約サイトTableCheckの調査によると、10月入り後、飲食店への来店人数が明確に改善(店舗当たり平均来店人数:9/27週22.9→10/4週28.0→10/11週30.4)。宿泊については、現時点ではなお鈍いが、先々の予約が増え始めたと聞く。週末の高速道路の渋滞が目立ち始めたことを踏まえると、観光地の入込客なども増え始めたと推察される。


 内閣府の景気ウォッチャー調査によると、9月下旬時点で、家計動向関連の先行き判断DIが、コロナ禍での最高水準まで改善(図表2)。GoToキャンペーンやワクチン・検査パッケージ活用による行動制限緩和の効果を含め、先行きの消費改善に対する期待の高まりが窺われる。


 ただし、ひと頃期待されたワクチン接種による集団免疫効果は暫く実現しそうになく、コロナ禍の経験に伴い消費構造が変化していることも踏まえると、消費関連企業にとっては業績改善に向けた様々な工夫が引き続き必要と思われる。


 この点に関し、日銀は9月下旬、全国の支店等からの報告を基に、「感染症のもとでの地域の消費関連企業の取り組みと課題」(地域経済報告・別冊シリーズ)と題するレポートを公表した。そこでは、全国の消費関連企業における、①ウィズコロナに特化した取り組み 、②需要の回復に備える取り組み、 ③感染症のもとでの変化に着目した取り組み、 ④「連携」を通じた取り組み、という主に4つの観点からの取り組みとその際の課題について、数多くの具体例を挙げて詳細に記述している。千葉県の関連企業にとっても参考になる事例があると思われる。

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