Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

SDGsセミナー:千葉県の取組事例と課題

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年11月9日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 ちばぎん総合研究所と千葉銀行は、11月4日、「SDGsセミナー2021」を開催。2015年に国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標<環境や人権等を含む17の目標>)について、千葉県内で先進的な自治体と企業の取組事例を紹介、メリットや課題も共有し、SDGsの推進に向けたヒントを提供することを目的としたものだ。


 今回のセミナーは、対面(千葉銀行本店)とウェブのハイブリッドで行ったが、参加者は県内自治体・企業を中心に計200名を超え、SDGsに対する関心の高さを改めて示すものとなった。


 セミナーは、第1部の基調講演と第2部のパネルディスカッションで構成され、私は第2部のモデレーターとして参加。 


 第1部では、主催者側から、総研がアンケートに基づくレポート「千葉県におけるSDGsに関する取り組みの現状と課題」について、銀行は自身の取組みと融資面を含めた顧客の取組み支援について、それぞれ説明。アンケートでは、千葉県でも関心が急速に高まっているが、実際の取組みは自治体・企業とも日本や首都圏の平均に比べ遅れている姿が示された。


 自治体としては、市原市が、千葉県初の「SDGs未来都市」に選定された経緯や市民への啓蒙活動、企業との連携などを紹介。取組みの基本的背景として指摘されたのは、市原市が、①石油化学コンビナート、②里山環境、③ひとの力(人口面)のいずれでも、持続可能性という課題に直面していること。企業としては、米屋新松戸造園が取組みを紹介。米屋はニューヨークでの催事の際に社長が国連本部を訪れたこと、新松戸造園では防災公園の施工やコロナ禍で利用が増えた公園の管理運営を手掛けたことなどが、意識を高めたきっかけとされた。


 第2部では、第1部を深掘りする形で、これまでの成果や課題、これから取組む自治体や企業に対するアドバイスなどについても意見交換。


 セミナーを通して多くの示唆に富む意見が聞かれた。例えば、推進にはトップのリーダシップが重要であること、市民生活の向上や企業理念の実現といった基本的な目標があってこそのSDGs活動であること。また、市民や顧客の反応、職員のモティベーションという点でポジティブな面が指摘された一方、職員への問題意識の更なる浸透が課題として挙げられた。企業間の連携を高めるために、他県で行われている「SDGs推進企業登録制度」などの導入を求める声もあった。


 新たに取組む自治体や企業に向けたアドバイスとしては、①各種セミナーのほかSDGsカードゲームも知識を高める上で重要なツール、②実施している活動を17目標にマッピングすることが第一歩として有用、③同じ活動が複数の目標に跨ることを意識すべき、などが挙げられた。


 基調講演やパネルは内容が多岐に亘るため、詳細については、当社のマネジメントスクエア(1月号に掲載予定)や千葉銀行のYou Tube(SDGsセミナー2021 ~千葉県のSDGsの取組事例と課題~ – YouTube)をご覧いただきたい

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