Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

東京から千葉への潜在移住者は約50万人か

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年11月2日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 昨年のコロナ禍以降、東京都への人口流入が大きく減少する一方、その周辺県への流入が増加。流入の規模では神奈川県や埼玉県が大きいが、19年度との比較では千葉県への人口流入の増加が目立つ(表1)。これは、東京・千葉間での人口移動が千葉方向に変化したことの影響が大きいとみられる(点描21年2月2日号)。


 そうした事象を踏まえ、ちばぎん総研では本年6月、東京都民を対象に移住のポテンシャルに関するアンケート調査を実施「コロナ禍に伴う人口動態の変化とアフターコロナの千葉県リモートワーク市場・住宅市場のポテンシャル」を参照)。


 調査対象の都民3250人のうち、500人が移住を「具体的に予定」か「将来検討する可能性」と回答(表2)。そのうち移住先が東京都内とする回答が281人(調査対象の8.6%)で最多、千葉県は118人(3.6%)で3位と2位の神奈川県(129人<4.0%>)に接近し、4位の埼玉県(65人<2.0%>)を大きく上回った。「具体的に予定」との回答では、千葉が26人(0.8%)と神奈川の21人(0.6%)を上回った


 大胆な試算とはなるが、東京都人口の約1400万人にそれら比率を乗ずると、千葉への移住を具体的に予定している都民は10万人強、将来検討の可能性も加えた潜在的な移住者は約50万人となる。コロナ禍前の19年度における東京から千葉への移住は5万人強であり、試算結果はこれを大きく上回る。


 千葉への移住を予定・検討する理由について上位5項目(13項目中)をみると(表3)、移住先が東京近郊地域、その他地域ともに、「価格の安さ」「自然環境の良さ」が上位2つで、近郊地域は東京に比べた「価格の安さ」が重視され、その他地域では「自然環境の良さ」が圧倒的な理由。両地域とも「交通利便性の高さ」が上位にあるのも特徴で、「安価で自然豊か、東京にも行きやすい」ことが千葉の魅力と映るようだ。


 千葉関係者としては、居住地としての魅力向上とともに情報発信に努め、そうしたポテンシャルを実際の移住に繋げていきたい。

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