Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

来年のビジネス環境はどうなるか

(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年12月24日号に掲載

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 今年も残り一週間。新型コロナの感染再拡大が繰り返され、ビジネス環境には厳しさが残ったものの、秋以降は、ワクチン接種の普及等により対面型サービスを含め明かりが見え始めた。


 さて、来年のビジネス環境はどうなるだろうか。基本的には、ワクチン接種や経口薬の普及などによって、日本そして千葉の景気は、次第に明るさを取り戻していくと予想している。


 同時に様々な不確実性もある。まずは、最近拡がっているオミクロン株など新型コロナの変異株の動向。しかし、本年を振り返ると、日本を含めグローバルにみて、予想以上のペースでワクチン接種が普及、医療体制の構築も相応に進み、ウイズコロナ下での経済回復を支えた


 IMFの世界経済予測をみると、本年1月時点では、20年見込みが-3.5%、21年見通しが+5.5%であったところ、20年実績が-3.1%、21年見込み(10月時点)は+5.9%と、デルタ株が拡がったにも拘わらず、下振れは回避。22年見通しは10月時点で+4.9%。人類の英知が経済活動を後押しし、高めの成長が実現することを期待したい。


 一方、新たな不確実性は、世界的なボトルネックの行方とその経済への影響。これは、モノの需要が急速に回復する一方、供給が直ぐには追いつかないことにより生じているもので、摩擦的な要素が大きいとみている。ただし、収束の時期は不透明であり、エネルギー高については脱炭素に向けた動きという長期的要因も影響している可能性がある。


 企業としては、この機を捉え、エネルギー効率向上や脱炭素への取組みを加速させたい。コスト高を販売価格に適切に転嫁していくことも重要だ。コロナ禍を経験し、人々の志向も「価格の安さ」から「安全性」や「環境や社会に配慮」などに変化している傾向がみられる。こうした意識の変化を踏まえ、品質面等での工夫により、長年続いた安値競争に終止符を打ちたい


 米欧では、ボトルネックを背景とした高インフレを反映し、中央銀行が金利引上げの方向にあることも不透明な要素だ。日本については、インフレ率が相対的に低く、利上げが実現する可能性は極めて低いため、企業の資金調達コストという点では、少なくとも来年中は目立って上昇することはないだろう。ただし、米欧での利上げが、日本の株価を含む金融市場に及ぼす影響については、一応注意しておきたい。


 いずれにせよ、コロナが鎮静化に向かえば、成長力強化が各国の最大の課題になる。企業としても、感染状況に不透明感が残るとはいえ、DXやGXへの取組みを含め長い目でみた成長戦略を本格化させていくことが求められる年となることは間違いなさそうだ。


 最後に宣伝です。新年1月1日14時より、千葉テレビで正月特番「わが街の未来予想図~移住、定住、いい街大発見~」(YouTubeへリンク)が放映されます。コロナ禍での千葉県への移住がテーマで、私もコメンテーターとして登場します。お時間がありましたらご覧下さい。良いお年をお迎え下さい。

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