Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

千葉県とスポーツ

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年1月5日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。初回の点描のテーマは、少し趣向を変えてスポーツとします。

 正月休みには様々なスポーツが行われるが、最も注目されるのは箱根駅伝だろう。今回放送をみて感じたのは、千葉県の高校出身者の多さだ。そこで番組HPで出身校を調べたところ、千葉県高校の数は直前エントリーで28人(全336人)、実際の出場では18人(全210人)と、いずれも全国1位であることが判明(2位はともに神奈川県で18人と13人)。県内の出身高校別にエントリー数をみると、市立船橋と八千代松陰がともに6人、専大松戸が4人で続く。

 千葉県のスポーツ選手と言えば、特にプロ野球で長嶋茂雄をはじめ多くの一流選手が活躍を続けてきているほか、最近では稲見萌寧(出身は東京都)や西郷真央など女子ゴルフ選手の活躍が目立つという印象。陸上については、増田明美や故小出義雄監督が頭に浮かぶが、千葉県が有名な県とまでは認識していなかった。千葉県の高校出身者が活躍した理由は定かではないが、出身校が何度も明示される箱根駅伝は当該県のイメージ創りという点で有効と感じた。

 スポーツは、近年ビジネスという点での重要性を増している。千葉県では、例えばプロスポーツ・チームについて、野球やサッカーに加え、千葉ジェッツの優勝にみられるようにバスケットでも盛り上がりをみせている。学生スポーツへの注目度の高まりとともに、トップアスリートが活躍する県としての地位向上という点で好ましい動きと言える。

 同時に、スポーツ参加に関する県民全体の底上げも、体力向上や健康維持、人との交流という観点から重要だ。私自身、中高大と硬式テニスの運動部に所属していたが、60歳となった今も週1回程度のペースで続けており、その効用は十分に認識している。ちなみに、数年前、私の通うテニス倶楽部で、「テニスは10年寿命を延ばす」という英国の実証研究結果を示すポスターが張られていた。真偽のほどは定かではないが、フィジカル・メンタル両面から優れた効果があるとされ、挙げられた理由はいずれも「然もありなん」と感じたことを覚えている。

 千葉県は、現在策定中の「新たな総合計画」において、目指す姿の一つとして「誰もが文化芸術・スポーツに親しめる千葉」を掲げ、文化芸術とともにスポーツの振興に力を注いでいく方針を示す。高齢者の健康作りから競技力の向上に至るまで、幅広い観点からスポーツの振興に取組むとしており、東京オリパラのレガシー活用も意識した方針だ(今月のマネジメントスクエアでは、オリパラのレガシーなどに関する熊谷知事・神谷千葉市長・前田の鼎談を掲載)。

 そうした行政の取組み、プロスポーツの隆盛、スポーツ教室の拡がり、県民の意識の高まりなどを通じ、千葉県が前向きのビジネスに繋がるとともに県民人生を豊かにする「スポーツ県」に発展することを期待したい。

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