Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

最近の消費活動

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年1月13日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 今回は、昨年9月末の緊急事態宣言解除後の消費活動(主に関東)を整理しておきたい。

 千葉県および東京都の消費関連施設におけるヒトの動きについてみると、年末にかけて大幅に増加したあと、年明け後(8日まで)はやや減少(図表1)。減少の主因はカレンダー要因による振れとみられるが、感染拡大による面もあるかも知れない。ただ、本年同様に数千人規模で新規感染が拡がった昨年1月と比べヒトの動きの水準はかなり高く、今のところオミクロン株の消費への影響は大きくはないとみてよい。

 これまでの消費回復は主に飲食店と宿泊施設。関連する高頻度データ(関東、南関東)をみると、年初および12月までの段階ではあるが、ともにコロナ前に近い水準まで回復(図表2、3)。

 消費者の見方について、日銀の生活意識アンケート調査(全国、12月初)をみると、1年後の収入・支出が過去数年で最も良好な水準まで上昇、消費の持続的な回復を期待させる(図表4)。

 今後の消費に影響を及ぼしうるオミクロン株に関しては、海外では、軽症や無症状の割合が従来株に比べ圧倒的に高い一方、このこともあって感染スピードが速いとの研究結果が相次ぐ。その場合、感染者や濃厚接触者に厳格な移動制限や隔離期間を設けると、医療を含む社会機能さえ維持できなくなるという問題がある。

 海外ではすでに隔離期間の短縮の動きがでている。不透明な部分はなお小さくないが、日本においても、オミクロン株の性質を十分に分析した上で、生命の安全とともに社会機能・経済活動の維持の観点から、最も適切な対応についての議論が深まることを期待したい。

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