Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

2021年の人口移動の特徴:千葉県への流入増は継続

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年3月2日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 今回は、2021年の国内の人口移動について、総務省の「住民基本台帳人口移動報告」の結果を基に、特徴を整理しておきたい。

 第1に、千葉県の転入超過数は16,615人と20年(14,273人)よりもさらに増加し全国3位、コロナ禍前の19年に比べた+7,077人は茨城県に次いで2位(表1)。東京都は、5,433人と転入超を何とか維持したが、19年との比較では-77,549人と大幅に減少。千葉県の人口流入の増加傾向は、主に東京都民の転入によるもの(表2)。

 第2に、都道府県を超えた人口移動の総数が、20年に大きく減少したあと、21年は小幅増加(表3)。19年に比べればまだ少ないが、コロナ禍によるヒトの移動自体の委縮には歯止めが掛かった姿。千葉県でも、20年は転入も減少する中で転出の大幅減少によって転入超が増えたが、21年の転入超増加は転出が減少を続ける一方で転入は小幅ながら増加に転じたことによる。

 第3に、減っているとは言え、首都圏(1都3県)やその周辺への転入超過は継続。21年に転入超となったのは、47都道府県の中で10に限られ、うち7が広域首都圏。茨城県や群馬県、山梨県では、19年には転出超であったところが21年に転入超に転じた。地方圏でも転出超の規模は縮小しているとは言え、転出超自体は継続しており、人口の「地方分散」は確認できない。広域首都圏への人口流入は続き、その中で千葉県をはじめ東京都以外が受け皿となっている姿。

 千葉県は、人口移動の面では今のところ恵まれた環境にある。関係者には、こうした動きを定着させるために、情報発信を含め、千葉の魅力向上に関する継続的な取り組みが求められる。

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