Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

コロナ禍でのイベント開催

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年3月16日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 3月6日、まん延防止等重点措置の下で、東京マラソンが一般ランナーを含む形では3年振りに開催された。昨年3月開催予定の「東京マラソン2021」が2度延期され、漸く開催に漕ぎつけたということだ。参加者は通常の3分の2に絞られたが、テレビではスタート地点がかなり密となっているように見えた。それだけに開催の是非には様々な意見があり得ようが、日本陸連のガイダンスに沿ったものとしており、その開催について私は適切な判断と考える。

 今回の重点措置(1/21~3/21)においては、イベント開催自体が禁止されている訳ではなく、千葉県では表1のような開催制限のガイダンスを策定している。こうした下で、千葉県でも表2のように幾つかの主要イベントが2~3年ぶりに開催されている。一方で、多くのイベントがなお中止となっており、代表は各地のさくら祭りだ。その一つである千葉城さくら祭りでは、中止の理由として、「県の対処方針に沿った感染防止策を実施する上で、上限人数、参加者の把握等について、十分な対策を実施することは困難」といった趣旨の内容を明示している。

 企業については、重点措置等が発出されると、自動的にイベントの開催・参加を見合わせるケースが少なくないように感じる。これは、顧客や社員の健康への配慮に加え、感染が拡大した場合、現在の国が設定する隔離期間では業務に支障をきたすリスクや企業の評判が損なわれるリスクがあることも要因となっているように思える。

 今後もウイルスには様々な変異が生じ、暫く感染拡大局面が繰り返されると覚悟する必要がある。その際、経済活動の面からは、飲食・宿泊だけでなくイベントも重要だ。政府は3月11日、新型コロナウイルス感染症対策分科会において、「大規模イベントでクラスターは確認されておらず、イベントが起点となり感染が拡大するリスクは小さい」として、感染拡大の下でも大規模イベントの人数制限を緩和する方針を示しており、前向きに評価したい。

 政府には、感染者・濃厚接触者に対する隔離期間の見直しを含めウイルスの性質に応じた更なる制限緩和を期待するとともに、民間企業としても、ウイズコロナを前提とした活動のあり方について意識を修正していく必要がありそうだ。

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