Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

マインドに慎重さも、事業計画は前向き──日銀3月短観

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年4月1日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 本日(4/1日)、日銀短観3月調査が公表された。新年度の事業計画が初めて明らかになる重要な調査だ。

 企業マインド(業況判断DI、図表1)は、年明け後のオミクロン株の流行や資源高、ウクライナ情勢の緊迫化などを反映し、全規模・全産業で小幅ながら7期振りに悪化。

 海外情勢や資源高の影響を直接受けやすい製造業大企業のほか、感染拡大の影響が強く出やすい対面型サービスの悪化幅が大きめとなった。

 一方、事業計画を全規模・全産業ベースでみると(図表2)、売上・収益は21年度が大幅な増収増益となり、12月調査からも上方修正。22年度も売上が増加を続け、コスト高の影響を受ける収益は若干の減益にとどまる見通し。

 設備投資は、21年度に増加に転じたあと、22年度も増加が続く見通しで、慎重に出やすい当初計画としては21年度を上回る強めの出だし。

 また、雇用人員判断をみると(図表3)、コロナ禍前ほどではないとは言え、中小企業中心にかなりの水準まで人手不足感の強まりが続いている。

 企業経営を取り巻く環境はなお不透明で、それがマインドの慎重さに現れるが、企業全体としては、やや長い目でみた需要回復を見込み、ポストコロナも睨みながら、設備投資や人員増強といった前向きの取組みに努める姿が読み取れる。

 ただ、現在のように環境変化が激しいと、企業による業績の差が出やすい。変化への対応力、値上げ力などが試される重要な局面と言える。

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