Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

改めて北千葉道路の早期全面開通を願う

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年4月6日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 2月9日に予定されていた「北千葉道路建設促進特別講演会」は、新型コロナ感染拡大に伴い開催中止となった。その代替として、沿線7市の市長によるご挨拶および私の特別講演の内容を収録した動画が、3月末に「北千葉道路建設促進期成同盟ホームページ」等にて配信された。

 北千葉道路(国道464号)は、外環道と成田空港を最短距離で直結する全長約43kmの幹線道路(下図)。1960年代後半に計画が始まり、現在30km弱が開通、東西の両端部分が未完成。私の講演(「地域経済の発展を後押しする北千葉道路(Youtubeへリンク)」)では、期待される効果として、①周辺道路の渋滞緩和やそれに伴う交通事故の減少、②緊急医療や災害の際の輸送ネットワークの機能強化、③日本一の成田空港と他地域とのアクセス向上による経済・文化・人的交流の強化を指摘。

(図)北千葉道路の位置図

(出所)各種資料より(株)ちばぎん総合研究所が作成

 ①現在、西側終点(鎌ケ谷市内)から外環道にかけての一般道路では、通常の1.5倍以上の混雑度が恒常的にみられ、死傷事故率が県内平均を上回る区間が多数存在。これは北千葉道路の部分開通により却って生じている現象で、周辺地域の経済発展に伴い今後も状況が悪化する可能性があるため、その解消に向けた早期の全面開通が必要。

 ②県の試算によれば、道路の全面開通により、成田空港から印西市の千葉北総病院までの所要時間が5割以上短縮。また、19年の台風15号の際に、東関道の千葉北ICと成田JCT間が16時間通行止めとなった経験も踏まえ、成田から都心部への選択肢の拡大が急務。

 ③経済同友会で検討中の成田・湾岸・かずさ・東葛エリアを中心とした経済発展を目指す「千葉イノベーションスクエア」構想の観点からは、アクセスが良くない成田と東葛を結ぶ北千葉道路が必要。また、28年度に予定される成田空港における第3滑走路完成などの大幅な機能強化が、真の意味で実効性を高めるためには、それと繋がる北千葉道路の完成が前提条件で、首都圏全体の発展の観点からも重要。

 最近の重要な前進は、昨年初に、外環道に繋がり工事が難しい最も西側部分の約3.5km(市川市内)に関し、道幅や高架・地下化など具体的な構造を固め、都市計画変更を決定したこと。その後、環境アセスメントなどが終了し、現在、測量・調査作業に移行しつつある。

 ただし、通常の道路計画では、こうした測量等の作業開始から完成まで、10~15年程度要するとされる。また、西側部分に繋がる6km弱は、未だ事業化されていない。このため、北千葉道路の全面開通は、成田空港の機能強化からかなり遅れる可能性がある。関係者としては、これまで以上に北千葉道路の必要性を訴え、なるべく早期の全面開通を目指したい。

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