Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

生涯活躍のまち「みらいあさひ」(千葉県旭市)

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年6月24日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 4月23日、旭市の「みらいあさひ」がオープン。2010年代半ばから民間事業者と連携し進めてきたプロジェクトが実現に至ったもので、「生涯活躍のまち」の中核拠点となるものだ。

 生涯活躍のまちは、国の地方創生メニューの一つ。もともとは、都市部の高齢者が元気なうちに地方に移住し、多様な活躍を期待するとともに、医療・介護も対応することで、最後まで安心して暮らせることを狙ったものだ。令和に入って、高齢者に限らず、全世代・全員活躍型のコミュニティづくりを目指すものとされた。

 生涯活躍のまちとして取組実施に至ったのは全国で123団体。千葉県では4団体(旭市のほか、匝瑳市、長柄町、御宿町)だが、旭市は唯一、国がまとめた9つの事例の一つとして紹介されている。私も昨日、現地を訪れ視察するとともに、関係者からお話を伺うことができた。

 みらいあさひの特徴は以下のようなものだ。

 ①旭市ならではの魅力とライフスタイルの創出・提供をコンセプトとすること。具体的には、最大の地域資源である旭中央病院を核とした医療・介護と、全国でも有数の農業の連携によって、日本一の安心と生きがいのある暮らしを提供する「持続可能な多世代交流拠点」としている。

 ②民間事業者をしっかり巻き込んでおり、官民連携を強固なものとするため、長期の基本協定を締結していること。その中では、まちびらきから30年間にわたり、旭市と民間事業者グループが協働していくことを盛り込んでいる。

 ③計画当初から高齢者だけでなく多世代参加型を目指しており、その交流施設として「おひさまテラス」を設けたこと。中核拠点のみらいあさひは、旭中央病院に隣接する土地に創られたものだが、商業施設、クリニック、介護施設などに加え、おひさまテラスが整備されることとなった。子供を預かる施設やコワーキングスペースを含め、多様な世代が集まれる場所で、開放感と温かみを兼ね備えていると感じた。

 ④介護については、「食にこだわる、挑戦にこだわる、活躍する関係にこだわる」という新しいカタチのデイサービスの確立と特別養護老人ホームの運営を目指していること。

 このような旭市の取組みは、地域の魅力や強みを最大限に活かすために、様々な工夫が施されており、素晴らしいものと感じた。同時に、まちは始まったばかりで、地域活性化という観点から真に大事なのは今後の運営である。

 今回お会いした方々からは、「まちを育てていくために、関係者でしっかり協力・連携していく」といった意気込みが聞かれた。官民からの視察の申し込みも相次いでいるという。地元の熱意ある取組みにより、旭市が生涯活躍のまちとして発展することを強く期待したい。

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