Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

企業行動は総じて前向き──日銀6月短観

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年7月1日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 本日(7/1日)、日銀短観6月調査が公表された。

 企業マインド(図表1)をみると、全規模・全産業では、3月に小幅悪化したあと6月は再び改善。非製造業が、対面型サービスを中心に、行動制限緩和から改善したことが寄与した。一方、製造業については、中国でのロックダウンなど海外情勢の影響を直接受けやすい大企業中心に、小幅悪化。バラツキはあるが、国内でのコロナ禍からの回復力が海外情勢に起因する弱さを上回った形だ。

 事業計画を全規模・全産業ベースでみると(図表2)、売上・収益は21年度に増収・大幅増益となったあと、22年度は、売上が増加を続け、コスト高の影響を受ける収益は小幅減益にとどまる見通し。企業はコスト高を相応に価格転嫁できているようだ。そのもとで、ソフトウエア・研究開発を含む設備投資は、21年度に小幅増加に転じたあと、22年度は2桁の増加計画。新卒採用をみると(図表3)、22年度に増加に転じ、23年度は大幅採用増の計画。

 海外情勢は、ウクライナ問題や資源高、主要国の利上げなど不透明な要素が多く、その影響は輸出減速やコスト高の形で国内にも波及する。しかし今のところ、企業全体としては、ポストコロナを睨みながら、価格転嫁を相応に進めるとともに、設備投資や人員増強といった前向きの取組みに努める姿が読み取れる。

 先行きについては、海外発の下振れリスクに注意が必要だが、前向きな企業行動が、そうした弱さを吸収し、経済全体の持続的な改善に繋がっていくことを期待したい。

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