Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

人口増加を続ける千葉市の魅力とは

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年8月24日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 政令指定都市となり30年が経過する千葉市では、人口の増加が続き、100万人に近づいている。

 21年10月時点における20の政令指定都市の人口をみると、千葉市の人口規模は12番目と大きくはないが、人口の前年対比という点では、コロナ禍にも拘わらず増加した6都市の一つとなり、増加率は3番目であった。

 コロナ禍における人口をみると(図表1)、テレワークの普及などに伴い東京都心等から千葉県への転入は増加したが、県全体では外国からの転入減などが勝り小幅減少となっていたので、千葉市の人口増加は都心等からの転入が相対的に大きかったためと考えられる。

 千葉市の人口を年齢別にみると(図表2)、高齢化に伴い65歳以上の増加が続いているが、コロナ禍では若手ファミリー層の中心とみられる25~34歳も反転増加。次代を支える0~19歳の年少人口がなお減少しているが、若手ファミリー層の増加は年少人口の減少に歯止めをかけるものと期待したい。

 21年度後半に市民を対象に実施された「千葉市まちづくりアンケート」をみると、「生活に満足している」との回答が85%と高く、3年前の同調査(69%)に比べても明確に高い。肯定的な回答が特に多い項目をみると、「緑が豊か」、「健康に暮らせる環境」、「公共交通が便利」、「スポーツを楽しめる機会」など。市民が千葉市に持つイメージは、都会と自然のほどよい組み合わせ、安心して便利に住める、ほどよく楽しめる、といったものか。

 一方、否定が肯定を明確に上回る項目は、「道路の移動のしやすさ」、「外国人と日本人がともに暮らしやすい環境」など。道路事情は、高速から中心街へのアクセスの悪さや慢性的な渋滞が課題か。外国人に関しては、千葉市の外国人比率(20年国勢調査)が2.9%と千葉県(2.6%)や全国(2.2%)に比べ高めであり、ここ数か月の明確な人口増は外国人の再流入による面が大きく継続的な流入増が予想されるので、日本人と外国人の融合が進むような環境づくりも大事だ。

 千葉市はサービス業が中心のまちであり、その発展にとって、産業面でイノベーション拠点になることに加え、住みやすさという面でヒトを惹きつけることが重要なポイント。市民の満足度の高まりや実際の人口増からみて、住みやすいまちづくりはまずまず成功していると言えそうだが、更なる発展に向けて、否定的項目の改善を含め、関係者の一層の工夫を期待したい。

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