Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

「数値でみる千葉県市町村の地方創生」

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年9月12日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 ちばぎん総研では、県内の地方創生の動きを把握・支援する目的で、市町村の特性を「住民アンケート(定性)」と「統計データ(定量)」の両面から数値化(見える化)する取組みを行っている。15年9月に第1回目の作業結果を公表したのち、約7年振りとなる今月初に第2回目の内容を公表した(公表主体は千葉経済センター)。

 今回調査のポイントは以下のとおり。

 ①アンケートによる住民の満足度は、多くの項目かつ多くの自治体で前回に比べ改善しており(図表1)、地方創生の取組みには一定の成果がみられる。

 ②総合評価(アンケート+統計データ)は、もともと高めの地域が改善する一方で低めの地域が悪化する傾向がみられ(図表2)、評価が低めの地方部中心に地方創生に向けた更なる努力が求められる。

 ③アンケートの方が統計データよりも自治体間の格差が大きく、イメージアップ戦略も重要であることが窺われる。

 ④自治体への愛着度の差異は、福祉や子育てなどへの評価に左右される面が大きい。

 満足度や総合評価が高めで、かつ前回に比べ大きく改善している自治体としては、成田市、流山市、旭市などが挙げられる。成田市では医療や環境文化、流山市では子育てや住環境、旭市では医療や子育てなどの満足度が向上しており、各市による特徴ある街づくりが奏功しているものと考えられる。

 なお今回は、総合評価から切り離す形で、SDGs、ダイバーシティ(多様性)や行政デジタル化といった、近年関心が高まっている項目についてのアンケートも実施したが、一部の自治体を除き総じて住民の満足度は低かった。自治体としては、こうした分野においての工夫も求められる。

 本調査は客観的ながら限られたデータによるものであることには注意が必要だが、各市町村が自らの立ち位置や街づくりの方向性との関係を認識する上では、有用と考えている。また、この調査をベースに11月10日には、千葉銀行と共催で「地方創生セミナー2022」を開催する予定。市町村には、今後の街づくりに際して参考にしてもらえると幸いである。

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