Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

脱炭素セミナー:脱炭素化を円滑に推進するためのポイント

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年11月25日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 ちばぎん総合研究所と千葉銀行は、11月7日、「企業や自治体の脱炭素セミナー2022」を開催。企業や自治体を取り巻く環境が脱炭素化に向けて大きく舵を切る中にあって、千葉県内で先進的な企業と自治体の取組み事例を紹介、メリットや課題も共有し、脱炭素化の推進に向けたヒントを提供することを目的としたものだ。セミナーは、第1部の基調講演と第2部のパネルで構成。私は第2部のモデレーターとして参加。 

 第1部では、主催者側から、ちばぎん総研がアンケートに基づくレポート「県内における脱炭素化の取り組み」について、千葉銀行は自身の取組みと融資面を含めた顧客の取組み支援について、それぞれ説明。

 企業・自治体・住民を対象としたアンケートでは、①千葉県企業は全国と比べ脱炭素の取組みに遅れ、②多くの住民は商品購入・居住地選択において企業・自治体の脱炭素姿勢を重視、③企業・自治体ともに脱炭素化を進めるうえでのノウハウが不足、といった姿が示された。

 第2部のパネルを含め、参加者からの発言で印象に残った点は次のとおり。

 まず、脱炭素への取組みのきっかけについて、洋上風力事業を軸とする銚子市からは、地域全体としての環境意識の強さが挙げられた。その背景には、市が50年以上前に火力発電計画が浮上した際に公害への懸念から計画を拒否した経緯があり、洋上風力発電の地域に指定される以前より自然エネルギー産業の誘致に取り組む方向性が示されていたようだ。

 古谷乳業では、参加した弊社のビジネススクールで多くの企業がSDGsに取り組んでいることを知ったことがきっかけ。斎藤英次商店は、社業が古紙リサイクルであり元々環境への問題意識が高いことに加え、今後の取引先からの要請(スコープ3)も意識したようだ。両社とも、若手の問題意識が高いこと、その背景には近年の学校教育に加え、会社や社会との関わりにおける視点が長いことなどを指摘。

 これから脱炭素に取組む自治体や企業に向けたアドバイスとしては、銚子市が、新電力会社を構想から1年足らずで実現した例を挙げ、コンサル会社をはじめ外部の知見を積極的に利用することの重要性を指摘。民間会社からは、①一つひとつ着実に課題を解決していくこと、②社員を巻き込み、意見を吸い上げていくこと、③脱炭素への取組みは採用や価格設定の面でも有利になり得ること、などの指摘があった。

 基調講演やパネルは内容が多岐に亘るため、詳細についてご関心のある方は、当社のマネジメントスクエア(1月号に掲載予定)や千葉銀行のYou Tubeをご覧いただきたい。

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