Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

成田空港の外国人入国者はピーク比6割超に回復

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2023年1月24日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日本の水際規制は、昨年春から段階的に緩和され、10月11日に原則自由化(表1)。10月以降、外国人の入国者数は急速に増加し、12月には年間ピークを記録した19年の12月との比較において、全国で57%、成田空港では62%まで回復した(表2)。

 全国ベースで国別にみると、12月は韓国からが最も多く、台湾、香港、米国、タイが続く(表3)。韓国からの入国者は年換算で561万人とピークだった2019年(588万人)近くまで回復。香港や米国、タイからの入国者はピーク比7~8割。

 成田地区のホテルからはアジアの富裕層の姿が目立つとの声が、都内の百貨店からもインバウンド客向けの売上が大幅に増加しているとの声が聞かれるなど、関連業界ではインバウンド効果を実感し始めているようだ。

 今後のインバウンドは、19年のピーク時に3割近くを占めていた中国からの入国者数の動向が大きなポイントの一つだ。現在は、中国のゼロコロナ政策は解除されたものの、その後の感染急拡大に伴い日本側が入国制限的な措置を行っているため、12月でも年換算で48万人(ピーク比6%)にとどまる。しかし、感染の沈静化に伴い制限は緩和されていくとみられるため、中国からの入国者も本年のどこかで回復に向かう可能性が高い。

 先行きインバウンドがどの程度まで回復するか不透明だが、円安基調などに伴う潜在需要の大きさや中国からの増加を踏まえると、23年にもピーク対比で7~8割あるいはそれ以上の回復となる可能性がでてきた。

 ピークであった19年のインバウンド消費(推計)は、全国で宿泊費を含め5兆円程度と大きい。千葉県の関連業界でも、インバウンド需要の取り込みを見据えた本格的な準備が必要だ。

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