Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

日本の10~12月GDP:何とか緩やかな回復を維持

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2023年2月14日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 本日(2/14日)に公表された22年10~12月の実質GDPは、前期比+0.2%・年率+0.6%と、小幅ながら2期ぶりのプラス成長(図表1)。

 これは個人消費が緩やかな回復を続け、輸出もインバウンド(サービス輸出に分類)の高い伸びから増加したことが主因(図表2)。内需は小幅減となったが、在庫の取り崩しによる面が大きく、一時的なものとみられる。

 GDP成長は、コスト高や世界経済減速の影響から鈍いものの、そうした大きなマイナス要因にも拘わらず、行動制限緩和の効果などから何とか緩やかな回復傾向を維持していると評価できるものだ。

 先行きの景気展開も、基本的には、緩やかな回復傾向を維持するとみられる。世界経済は、当面減速しそうだが、米欧は予想外に底堅い状況となっているほか、中国ではゼロコロナ政策の撤廃から回復が明確になっていくとの見方もあり、世界全体として明確な後退は避けられる可能性が高まりつつある。原燃料については、高い状態が続きそうだが、世界的な資源価格は多少落ち着きを取り戻し為替円安も幾分修正されているため、上昇には歯止めが掛かる兆しがみられる。

 今後の企業経営にとっては、原燃料高に加え、景気回復などに伴う人手不足の深刻化にどう対応していくかが、大きな課題の一つ。値上げ力や賃上げ力、それを実現するための最適な商品・サービス提供や生産性向上など、企業のイノベーション力が従来以上に問われることとなりそうだ。厳しい環境ではあるが、DXやGX、人への投資、女性の幹部登用を含め、前向きな取り組みを期待したい。

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