Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

賃上げの動き(2):千葉県でも拡がりか

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2023年3月31日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 3月16日の点描(「中小企業でも拡がる賃上げの動き」)以降の賃上げ動向に関する追加情報を整理したい。

 連合が集計した今春の労組による賃上げ要求は4.5%(定昇含む)であったが、回答状況については、直近3月23日時点の第2回集計で3.76%と、1993年(3.90%<最終集計値>)以来の高さとなった(図表1)。

 この3.76%は昨年同時点での集計値(2.13%)を1.6%程度上回り、最終集計にかけての若干の下振れを踏まえても3%台半ば強で着地しそうだ(図表2)。

 今回の賃上げ率を企業規模別にみると(同図表2)、組合員300人以上の企業が3.78%、100~299人が3.46%、99人以下が3.14%と、規模が小さくなるにつれて低くなるが、99人以下の企業でも3%超とかなり高い。

 定昇部分(1.6~1.7%)を除くベースアップは、全体では2%強、99人以下では1%台半ばと、いずれも明確な上昇だ。

 千葉県企業については、こうした賃上げ率の集計値はないが、企業からは「久しぶりにベアを実施」、「若年層を中心に思い切った賃上げを実施」といった、賃上げに前向きな声が少なからず聞かれる。

 ちばぎん総研では春の賃上げに関する定性的なアンケート調査を毎年実施している(千葉経済センターから受託)。23年に関しては、アンケート回収を開始したばかりではあるが、現時点での特徴は以下の通りである。

 ①定昇・ベアなど賃上げを実施する企業の割合は、昨年対比で5~10%程度増加。例年この時点では未定のため実施と答える企業は少ないので、異例の動き。

 ②賃上げ実施割合の増加は、定昇よりもベアの寄与が圧倒的に大きい。

 ③これらは企業規模別に拘わらずみられる傾向だが、もともと実施割合の低い中小企業の方が今年の増加幅は大きい。

 これらアンケート調査の結果の公表は例年ゴールデンウィーク明け。その辺りのタイミングで、春の賃上げ動向についてまたご報告したい。

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