Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

日本の1~3月GDP─内需中心に回復

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2023年5月18日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 本日(5/17日)公表された23年1~3月の実質GDPは前期比+0.4%・年率+1.6%と、22年7~9月、10~12月がほぼ横ばいのあと、明確なプラス成長に転じた(図表1)。前年比でも+1.3%と10~12月(+0.4%)に比べ伸びを高めた。

 プラス成長には、世界貿易鈍化から輸出が減少に転じたものの、行動制限緩和などから個人消費の回復が明確となり、前向きな企業行動を反映し設備投資も増加したことが影響(図表2)。また、物価上昇を加味した名目GDPが前期比+1.7%と高い伸びとなっているのも特徴だ。

 GDP統計は日本経済が、海外経済減速などの影響を受けつつも、行動制限緩和や緩和的な金融環境などに支えられた国内需要を中心に、緩やかな物価上昇を伴いながら回復している姿を示すものだ。

 先行きの景気展開も、国内需要に支えられて回復傾向を持続するというのが基本的な見立てだ。前週の点描でもみたとおり、企業は設備投資や賃上げを積極化している。個人消費も、名目所得の伸びの高まりと物価上昇の鈍化の動きに支えられ、回復傾向を辿ると考えられる。インバウンド消費もさらに増加しそうだ。

 同時に海外経済の不確実性には留意しておきたい。中国ではゼロコロナ政策の撤廃から回復に転じており、米欧も今のところ底堅さを維持している。ただ、最近は米国地銀の破綻が相次いでいるだけに、大幅かつ急速な利上げが海外の金融経済にどう影響するかは読みにくい面がある。日本経済は次第に頑健性を高めており、海外経済の減速がマイルドにとどまる限り回復傾向に大きな変化は生じないと思われるが、一応の注意が必要だ。

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