Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

日本の7~9月GDP─マイナスは一時的か

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2023年11月15日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 本日(11/15日)公表された23年7~9月の実質GDPは前期比-0.5%・年率-2.1%と3期ぶりのマイナスとなった(表1)。

 これは2期連続で高い伸びとなったことの反動の面が大きいとみられる。前年比でみれば+1.2%としっかりした伸びを維持していることもあり、基本的には一時的なマイナス成長と考えられる。

 また、物価動向を含む名目GDPでみれば、2期連続高い伸びのあと横ばいを維持し、前年比も+6.4%と伸びを高めるなど、しっかりした動き(表2)。企業が直面する売上・収益は順調というイメージ。

 市場では、実質GDPの小幅マイナス成長は想定内と受け止めている模様で、本日の株価もマイナス成長を材料視することなく大幅に上昇している。

 ただし、やや気になるのは、国内需要が2期連続でマイナスとなった点(前掲表2)。個人消費・設備投資とも、名目では底堅く推移しているが、実質では2期連続でマイナス。家計・企業とも、名目支出は増えているが、実質的には物価上昇の影響から多少節約していると読めなくもない。

 各種統計を見る限り、今のところ家計・企業ともマインドは良好な水準を維持しており、節約志向を強めているとまでは考えにくい。また、家計・企業が直面する物価指数の前年比は既にピークアウトしており、今後はその面からの成長率押上げ効果は和らいでいくとみられる。このため、国内需要も底堅さを取り戻すことが期待される。

 ただ同時に、円安傾向もあってある程度の物価上昇は続くだけに、家計や企業が予想以上に節約志向を強めないかという点にも一応注意しておきたい。

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