Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

スタートアップセミナー:千葉県から優れた起業家を

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2023年11月20日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 ちばぎん総合研究所と千葉銀行は、11月7日、「スタートアップセミナー2023」を開催。国を挙げてスタートアップ育成に力を入れる中にあって、千葉県内での先進的なスタートアップの事例や支援する自治体の取組み等を紹介。課題も共有しながら、千葉県から優れた起業家を増やすために必要と考えられる情報やヒントを提供することを目的としたものだ。

 セミナーは第1部の基調講演と第2部のパネルで構成、私は第2部のモデレーターを務めた。

 第1部では、主催者側から、ちばぎん総研がアンケートなどに基づくレポート「千葉県におけるスタートアップの現状と課題」について、千葉銀行は自身のスタートアップ支援について、それぞれ説明。民間は、起業家を育てる仕組み「千葉イノベーションベース(CIB)」の会長、DXによる救急医療の効率化を医師自らが手掛けるスタートアップ「Smart119」の代表から、これまでの取組みについて話しがあった。自治体側は、国が選定するスタートアップ・エコシステム・グローバル拠点に千葉県から唯一参画している千葉市のスタートアップ支援室長から、各種施策について説明があった。

 第2部のパネルを中心に、参加者からの発言で印象に残った点は次のとおり。

 業務遂行にあたっての課題について、アンケートでは「販路開拓」、「資金調達」、「人材確保」がトップ3とされたが、民間パネリストからも同様の指摘。その上で、「起業家の先輩からアドバイスが聞けるCIBの存在は大事」、「事業のフェーズによって課題が変化するので柔軟な対応が必要」、「関係者との交流は質以上に量が重要」などのコメントがあった。

 行政等の支援のあり方については、民間から「各種制度は充実しており、積極的な活用が大事」との評価と同時に、「スタートアップと地場大企業とのビジネスマッチングの支援」、「千葉で起業するとカッコいいと思えるようなシンボル的な施策」などの要望もあった。千葉市からは、スタートアップに対し「支援機関との繋がりを持っておくことが大事」と呼びかけるとともに、「成果が数字に表れにくいので難しいが、スタートアップが育ちやすい環境創りに心がけている」とのコメントもあった。

 官民参加者に向けたアドバイスとしては、いずれのパネリストも、CIBの活用や支援機関との関係を含めた情報やヒトとの継続的な繋がりの重要性を指摘。また千葉市は、「自治体が取組みの成功例をアピールすれば、他の自治体もそれを参考にできる」とコメント。

 基調講演やパネルは内容が多岐に亘るため、詳細についてご関心のある方は、当社のマネジメントスクエア(1月号に掲載予定)や千葉銀行のYou Tubeをご覧いただきたい。

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