Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

今年度も増収増益、採用をさらに積極化──日銀12月短観

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2023年12月13日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 本日(12/13日)、日銀短観12月調査が公表された。

 業況判断(表1)をみると、全規模・全産業では+13と3期連続で改善、2000年以降のピーク(+17<18年3月>)に近づく水準。

 業種別には、非製造業が経済活動正常化を反映して改善を続け、製造業もごく緩やかながら3期連続の改善。非製造業では、宿泊・飲食サービスや小売、不動産の改善が牽引。製造業は、業種別には自動車が「良い」超幅を拡大したことに加え電気機械なども小幅改善に転じ、規模別には大企業だけでなく中小企業も改善した。

 23年度の事業計画を全規模・全産業ベースでみると(表2)、売上・収益は前回比上方修正され、中小企業を含め3年連続の増収増益。経常利益は、前回まではコスト高への懸念から小幅減益の見通しだっただけに、重要な変化だ。

 23年度の設備投資計画は、ソフトウエア投資中心に3年連続かつ大幅な増加。前回対比で小幅下振れているのは、年度内に実施し切れない案件が明らかになり始めるという例年みられる傾向。

 この間、中小企業中心に人手不足感がさらに強まり、全規模・全産業では「不足」超幅が-35と2000年以降のピーク(18年12月、19年3月)と同水準。そうしたもとで、24年度の新卒採用計画は中小企業中心に大幅増(表3)。中小企業では23年度の採用が1年前の計画に比べ大幅に下振れており、その分さらに採用を増やさざるを得ないと意識している模様だ。

 調査結果は、緩やかな景気回復や前向きな企業行動と同時に、人材確保の難しさを示すものでもある。人材確保の観点からは更なる賃上げは不可避とは言え、業務プロセスの見直しや省人化投資、人材教育など労働生産性向上のための抜本的な対応をより意識する必要がありそうだ。

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