Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

日本のGDP─2期連続で伸び悩み

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年2月16日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 昨日(2/15日)公表された23年10~12月の実質GDPは前期比-0.1%・年率-0.4%と僅かながらも2期連続マイナス(表1)。物価動向を含む名目GDPは前期比+0.3%・年率+1.2%と、前期マイナスのあと小幅プラスに転化(表2)。

 前年比でみると、実質GDPが+1.0%、名目が+4.9%とともにプラスを維持し、特に名目の伸びが高い。名目の強さは、企業の売上・収益が良好であることを示唆するものだ。

 今回のGDP統計の評価は難しいが、23年前半の成長が高すぎた反動の面もあるため「実質GDPの2期連続マイナス成長」からイメージされるほど景気の実態は悪くない一方、物価上昇による家計・企業の節約志向も読み取れるというのが妥当な評価だろう。

 節約志向という点では、国内需要が実質で3期連続マイナス、名目でも一進一退となったことが気になる(前掲表2)。

 ただ、家計・企業ともマインドは良好な水準を維持しており、昨日の株価もマイナス成長を材料視することなく上昇した。また、家計・企業が直面する物価指数の前年比は明らかに鈍化しており、今後は物価高による成長押下げ効果は和らいでいくとみてよい。

 企業経営としては、「景気全体は振れを伴いつつも緩やかな回復傾向を辿る」との判断をベースとしつつ、物価高などに伴う多少の弱さや分野によるバラツキにも目配りしておくとのスタンスが適当だ。

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