Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

京葉線ダイヤ改正を巡る動き

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年6月3日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 本年3月のJR東日本のダイヤ改正により京葉線の快速が通勤快速廃止を含め大幅に減少。5月22日に千葉市が、その影響等に関するアンケート調査の結果を公表。その後30日にはJR東日本が、9月からの快速増便を表明(通勤快速廃止は不変)。

 ダイヤ改正に伴う快速運転本数(上下計、通勤快速含む)の変化をみると(表1)、3月に大きく減少し、9月には多少戻る姿。

 蘇我駅⇔東京駅でみると、平日朝の通勤時間(6~7時台)の上りは、通勤快速を含む快速の本数が3月に4本から2本に減少した後、9月には4本を回復。一方、夕方の帰宅時間(18~20時台)は、下りの快速が10→0→2本と戻りは少ない。快速と各停の所要時間の違いは、蘇我・東京間が10分以上、内房・外房地域ではそれ以上なので、利用者にとって重要な問題だ。

 ちばぎん総研では、3月ダイヤ改正に関するアンケート調査をお手伝いした。調査結果のポイントは、以下のとおり。

 ①アンケートの総回答数は14,849件と、千葉におけるこの種のアンケートとしてはかなり多く、関心の高さが窺われた。

 ②影響についての回答は、「悪い」が8割強。とくに居住地域が千葉市、それ以上に内房・外房で「悪い」との回答が多かった。

 ③一方で「良い」とする回答も1割弱存在。千葉市以西で3割弱あるので、各停の利用者が快速の通過待ち時間が減ることなどを評価しているためだろう。

 ④行動変化としては(表2)、「乗る時間の変更」が6割と最も多かったが、「京葉線の利用停止」が25%、「京葉線沿線以外への転居」とする回答も1割程度あった。

 以上のように、ダイヤの大幅改正は多くの住民に対し通勤面を中心に大きな影響を及ぼし、様々な意見があることが分かった。また、通勤以外でも、土休日の海浜幕張におけるイベントへの参加・出店などに影響を及ぼすことも考えられる。

 今回、JR東日本が快速の増便を表明したことは、沿線住民などの意見を踏まえた迅速な対応と評価できる。今後は、9月のダイヤ再改正後の影響についても幅広い意見を丁寧に聞きながら、最適なダイヤ編成に向けて柔軟な対応が採られることを期待したい。

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