Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

千葉県の外国人(2)─労働者の動向

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年8月5日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 7月25日付点描「千葉県の外国人─人口の動向」に続き、千葉県の外国人労働者をみると、23年10月末で7万9千人、就業者の2.3%と増加傾向(図表1)。人口比率は千葉県(3.3%)が全国(2.7%)を上回る一方、就労者比率では全国を下回るが、千葉に住み東京で働いている外国人が多いためだろう。

 国籍別にみると、トップ5はベトナム、中国、フィリピン、ネパール、インドネシア。5年間でベトナム(+57%)、インドネシア(3倍)などが大幅増。

 産業別の特徴は、全国に比べ建設、医療・福祉等のウエイトが高く、製造の中で食料品が6割程度の割合を占めること(図表2)。

 ひまわりベンチャー育成基金(総研が受託)が主要企業約200社に対し行った最新のアンケートでは、5割以上の企業が外国人雇用を実施・検討していることが判明(図表3)。5年前の同様の調査では4割弱であったので、人手不足が深刻化するもとで、外国人労働者をさらに活用する動きが拡がっていることが分かる。

 課題は言語、教育などが上位を占めるが、5年前と比べ「離職・転職への懸念」が大きく増え5位となったことが特徴。これには、今後「技能実習」から「育成就労」に制度が変わり、現在原則不可とされる転職が同一分野であれば1~2年で可能となることが影響。

 ただ、転職可能な外国人労働者の過去の地域間移動をみると、賃金水準の違いなどを反映し地方から千葉を含む大都市圏への流入超が明確。制度変更は千葉県全体にはプラスに働きそうだ。

 大事なのは、仕事に見合った賃金を払い、多様性にも配慮した働きやすい環境を整備すること。企業としては、日本人の働き手が減少することが確実なだけに、生産性を高めるとともに、必要に応じて対象国を拡げつつ外国人を採用していく方向にあるとみられる。この点、国際協力機構(JICA)では、今後増加する可能性がある国として、賃金水準が相対的に低いカンボジアとミャンマーを挙げていることも付け加えておく。

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