Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

千葉県企業経営動向調査─新卒採用スタンス

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年8月27日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 8月上旬に公表した四半期毎の「千葉県企業経営動向調査」(ひまわりベンチャー育成基金<総研が受託>)では、千葉県企業の新卒採用と初任給に関する特別調査(調査時点6~7月)を実施したので、そのポイントをお伝えする。

 まず新卒採用状況についてみると(表1)、24年実績は前年に比べて増加した企業が21%に対し減少した企業は24%と、小幅ながら減少企業が上回る結果。ただし、これは意図的に減少させたのではなく、採用できなかったことによる。

 1年前時点の採用予定調査では、増加企業(36%)が減少企業(7%)を大きく上回っていた。今回の達成状況調査では、24年採用計画に届かなかったとする企業の割合が41%に上り、特に人手不足感の強い中小非製造業では56%と高かった。こうしたもとで25年の採用予定は、増加企業(33%)が減少企業(9%)を大きく上回り、新卒採用に対する意欲は不足を埋め合わせようと引き続き旺盛。

 新卒採用が困難化する中で、千葉県でも初任給引上げの動きが拡がる(表2)。24年入社の新卒採用者の初任給について、引上げたとする企業は70%で23年(59%)を大きく上回る。25年の初任給については、未定が3割存在するが、引上げる・引上げを検討する割合が56%と1年前の24年予定(53%)を幾分上回っており、25年の初任給引上げは24年以上に拡がる可能性がでている。

 新卒採用の積極化や賃上げは自然な流れ。ただ、長年の少子化の影響から新卒人数全体が減少傾向を辿るため、新卒採用を増やすことはさらに困難になっていく。このことは企業も認識し始めており、24年3月に行った調査では、人手不足対応として「中途採用強化」を挙げる企業割合が56%とトップかつ前年に比べ15%ポイント増える一方、前年時点でほぼ並んでいた「新卒採用強化」は35%と5%ポイントの減少。とは言え、人の取り合いが常態化するなかで中途採用強化にも限界はあろう。

 賃上げや働きやすい環境作りなどにより採用全般を増やしていく努力は不可欠だが、同時にDX等による抜本的な業務効率化などにより省人化を図ることも重要な課題だ。

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