Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

千葉県の基準地価:引き続き上昇率が高まる

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年9月18日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 昨日(9月17日)、24年基準地価(7月1日時点)が公表された(表1)。

 全国の地価を全用途平均でみると、前年比+1.4%と前年(+1.0%)から幾分伸びを高め3年連続の上昇。このうち三大都市圏は+3.9%と前年(+2.7%)から伸びを高め4年連続の上昇、地方圏は+0.4%と前年(+0.3%)に続き2年連続の小幅上昇となった。

 地価上昇がごく緩やかながら地方圏にも及んでいるが、これにはインバウンド増加や企業立地の国内優先などが影響している模様。その意味では、物価だけでなく地価の上昇も円安が一つのきっかけになったものと考えられる。

 このうち千葉県の基準地価は、全用途平均が前年比+3.7%と4年連続で伸び率を高め(前年+2.8%)、10年連続の上昇。千葉県の上昇率は、東京圏の中では東京都、神奈川県を下回る一方、埼玉県を上回る。

 千葉県の地価を用途別にみると(表2)、工業地が+9.9%と突出するが、商業地(+5.0%)、住宅地(+3.2%)もしっかり上昇。全ての用途で前年から伸びを高めた。

 用途毎に地域別のトップ3を挙げると、住宅地では流山市、市川市、浦安市、商業地では浦安市、市川市、船橋市、工業地では船橋市、習志野市、市川市と、いずれも東京都に近い地域。住宅地中心に都心の地価やマンション価格の上昇が波及している。浦安市の商業地価格上昇は需要が拡大する東京ディズニーリゾートの効果とみられる。工業地の価格上昇には、物流施設などの企業立地が進んでいることが影響。

 今後も千葉県全体としては、東京都に隣接する地域に牽引される形で、暫く地価上昇が続く可能性が高い。日銀が利上げに転じたことの影響は気になるが、暫くは緩和的な金融環境が続くとみられる。ただ、南総・外房といった地方部では、一宮町などを除いて多くの地域で地価下落に歯止めがかからない点にも引き続き注意が必要だ。

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