Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
景気変調の動きはみられない──日銀9月短観
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年10月1日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
本日(10/1日)、日銀短観9月調査が公表された。7月下旬以降、円安の大幅修正や株価の一時的急落がみられたほか、自然災害が相次いだ。そうした中でも、企業からみた景気は、今のところ変調の動きはでておらず、概ね良好であることが示された。
業況判断(表1)をみると、全規模・全産業では+14と前回から小幅改善し良好な水準。業種別には、製造業が横這い、非製造業が小幅改善。企業規模別には、大・中小とも同様の傾向だ。

製造業では、鉄鋼が中国経済の弱さを受けて悪化した一方、電気機械がIT関連需要の回復から改善。非製造業では、小売や宿泊飲食がインバウンド増などから、建設や不動産が堅調な需要を反映し、それぞれ改善。
24年度の事業計画は、設備投資が引き続き高い伸びとなるなど、企業は積極姿勢を維持。
全規模・全産業ベースでみると(表2)、売上・収益については、4年連続の増収の一方、経常利益は4年振りの減益ながら、小幅に過ぎず、かつ前回から上振れ。円安修正がマイナスに働きやすい製造業・大企業でも収益は上方修正。ソフトウエア・研究開発を含む設備投資は、23年度に続き24年度も1割程度の増加計画。

企業金融の判断をみると(表3)、借入金利水準は上昇との回答が増えているが、資金繰りや金融機関の貸出態度については横ばいで良好な水準が維持されている。日銀が3月に続き7月に利上げした影響が借入金利面に現れているが、量の面では緩和した状態が続いているようだ。

今回の短観の結果は概ね良好なものであり、現時点で景気の先行きについて過度な心配は必要ないだろう。とは言え、米国や中国の経済情勢、内外の政治情勢や金融政策、中東情勢など、先行き不透明な要因が多いだけに、企業経営においては各方面への目配りも必要だ。
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