Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
「人が主役の企業戦略」─人的資本経営調査
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年10月22日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
千葉銀行グループでは先般、「人が主役の企業戦略~企業価値を高める人的資本経営調査~」を公表。県内企業が人材戦略を策定・見直しするにあたってのポイントや実例をまとめたものだ。
人的資本経営は、「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」とされる。上場企業では23年3月期より関連する情報開示が求められているが、中小企業でも人手不足の深刻化やDXをはじめとする大きな環境変化などを背景に関心が高まっていると考えられる。
本調査では、企業アンケートやインタビューなどをもとに、効果的な人的資本経営のあり方に加え、県内企業の具体的な取り組み例も紹介している。
調査の概要をごく簡単に紹介すると以下のとおり。
- 人的資本経営にとって重要なポイントは、人材戦略と事業戦略の連携。経営理念を実現するための人材育成であることを明確にする必要。その上で、人材の確保→職場での人材連携→人材の成長→経営目標の達成→人材の確保という前向きサイクルの具現化、これらを支える社員の組織への貢献意識(エンゲージメント)の醸成が大事(下図)。
- アンケートによると、8割強の企業が経営計画を持つ一方、人材育成方針のある企業は4割弱。人材育成方針を持つ企業でも、経営計画と連携させているのは半分程度の2割弱に過ぎない。これらの改善が必要。
- インタビューからは、人材戦略の成否が、採用活動を含めた経営者の強い関与の有無による面が大きいことも判明。
(図)人材戦略と事業戦略との連携

(出所)(株)千葉銀行「人が主役の企業戦略~企業価値を高める人的資本経営調査~」(24年9月)
中小企業にとっても、適切な人的資本経営の実現を目指すことが、環境変化が激しい中で勝ち組となる主要な条件の一つになっている。
本調査は、特に人材戦略に力を入れていきたいとお考えの会員企業の皆さんに、具体的な取組み事例も参考にしながら、ご活用いただければと思う。また11月8日に、本調査をベースとする「人材マネジメントセミナー2024」を千葉銀行本店ならびにオンラインで開催するので、ご関心のある方はご参加いただきたい。
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