Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
日本のGDP─7~9月は消費中心に2期連続のプラス成長
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年11月18日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
先週末(11/15日)に公表された24年7~9月の実質GDPは前期比+0.2%・年率+0.9%と小幅ながら2期連続のプラス成長(表1)。前年比は+0.3%と小幅ながらプラスに転じた。

物価動向を含む名目GDPは、前期比+0.5%・年率+2.1%、前年比でも+2.9%と、高めの成長が続いており(表2)、企業の売上・収益増と整合的で、コスト増の価格転嫁が進みつつあることを反映したものだ。

実質GDPの前期比の内訳をみると(前掲表2)、外需が弱めの一方、内需がしっかり。設備投資の堅調さに加え、一頃弱かった個人消費が2期連続でプラスになったことが特徴。後者に関しては、賃金の伸びが高まる一方、物価上昇が多少鈍化したため、実質所得が増加基調を取り戻しつつあることが背景だ。
一方、気になる点は外需(輸出-輸入)の減少が続いていること。中国・欧州経済の鈍さから輸出が伸び悩んでいる一方、輸入が増加を続けていることが背景。輸入増は堅調な内需を反映している面もあるが、企業が進めるDX・GX関連投資が主に輸入で賄われていることの影響も大きく、日本の競争力低下を映し出している可能性がある。
以上のように今回のGDPは、日本経済は内需中心に底堅さを維持しつつも、力強さを欠くものでもあることを示したもの。
先行きに関しての主な留意点は、内需面では政府の新たな経済政策の効果や消費回復に水を差しかねない円安進行の可能性、外需面では米トランプ大統領の政策の世界経済への影響。後者に関しては、財政支出などで米景気にプラスに働きうる一方、中国などへの大幅関税で世界貿易にマイナスに影響を及ぼす可能性もある。予断を持たずに注視していく必要がある。
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