Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

千葉県の新たな総合計画

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年8月24日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 千葉県は、熊谷新知事のもとでの基本的な県政運営方針を示す「総合計画」の策定作業を開始。8月6日に「骨子素案」を公表、12日には第1回「総合計画策定懇談会」を開催した。


 同懇談会は、計画策定に資する観点から、各分野における学識経験者および市町村長の代表から任命される委員(今回は20名)で構成され、計画に関する意見を陳述するもの。来春の県議会に対する総合計画案の提出前まで、計3回開催される。私は委員の任命を受けただけでなく、座長を務めることにもなった。


 骨子素案では、基本理念を「千葉の未来を切り開く─「まち」「海・緑」「ひと」がきらめく千葉の実現」とし、基本目標として危機管理や産業・社会資本など6項目に関し目指す姿を掲げている(下表)。近年の自然災害や感染症の頻発、今後予想される人口減少といった大きな環境変化を踏まえ、10年後の千葉県のあるべき姿を実現するための計画と位置付けている。


 骨子素案に対する委員からの意見は実に多様かつ率直というのが、私の受けた印象だ。各分野の専門家から、医療や防犯、教育などを含め多くの貴重な意見が出され、「未来志向でない」等の厳しいコメントもあった。複数の委員からの共通した要望としては、①千葉県の多様性に配慮したバランスの良さ、②県民等への分かりやすさ、③SDGs・脱炭素などを全面に、④技術進歩を意識した産業育成、⑤前総合計画の成果・反省を確り反映、⑥各項目や施策の横のつながりの強化、などがとりわけ大事なものと感じられた。


 私個人の意見としては、①今後10年は千葉県の人口も減少に転じるため、千葉としての魅力を高め人・企業を惹きつけていくことに一層注力する必要(千葉として受動から能動へ)、②必要な取組みは多岐に亘るが、豊かな自然を含めグリーン・クリーンであることやイノベーションをはじめ産業育成を促進することなどが特に重要、③県内外の幅広い理解を得るためにメッセージ性や訴求力を高めることが大事、といった点を指摘。また、経済同友会の「千葉イノベーションスクエア」、「グリーン県ちば」構想も紹介した。


 今後の総合計画策定においては、こうした懇談会の意見のみならず、県民からの意見も参考にされていく。骨子素案に関しては本日が締め切りだが、秋にはさらに具体的な内容となる計画原案についても意見募集が行われるとみられる。


 新たな総合計画は県民の未来に大きく影響し得るものだ。私は委員・座長としてより良い計画策定に貢献していきたいと思うが、皆さまからの積極的な意見提出も期待したい。

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