Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

23年入り後の宿泊者数の動向─千葉県の特徴

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2023年7月10日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 行動制限の緩和・廃止に伴って国内旅行、インバウンドとも回復が明確だ。ここでは、23年入り後(1~4月)を中心とした宿泊者数に関する千葉県の特徴を、全国などと比較しながら確認しておきたい。

 ①千葉県の宿泊者数は19年対比で9%減まで回復。大幅増となった東京都(+15.6%)を除く全国(-9.3%)並みだが、東京都のみならず神奈川県(+4.4%)にも出遅れ(表1)。

 ②千葉県・全国(除く東京)とも、日本人がほぼ19年レベルまで回復する一方、外国人はこの時点では相対的に弱め。東京都は内外とも大幅増、神奈川県は日本人が明確に増加(表2)。

 東京都は、その魅力で内外から観光客を惹きつけている模様(6/19日付の点描を参照)。神奈川県の日本人客増加には、箱根など全国有数の観光エリアが集客に寄与か。

 ③コロナ禍ではどの地域でもマイクロツーリズム(県内客)が観光客を下支え。県内居住者の宿泊者数は、19年対比で20~21年に小さめの落ち込みにとどまったあと、22年以降は増加に転じた(表3)。

 千葉県も22年以降の増加ペースが全国を上回るなど健闘。ただし、県内宿泊比率は全国比なお低めで、神奈川県とは大きな差。

 千葉県の延べ宿泊者数は23年1~4月も全国6位と19年と同順位で、全国有数の観光県。関東では、全国1位の東京に次ぎ神奈川県(全国7位)を上回る。このため観光の回復は千葉県経済に大きなプラス。ただし、東京や神奈川などと比べて勢いを欠いており、引き続き魅力向上のための取組みが必要だ。

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